初心者向けバイブコーディングの使い方|基礎から徹底解説

最近話題の「バイブコーディング」。その具体的な使い方がわからず、一歩を踏み出せずにいませんか?

vibe codingの使い方は驚くほど簡単で、AIに「雰囲気」で指示するだけ。専門知識がなくても、あなたのアイデアをアプリとして形にできます。

この記事では、基本的なやり方からおすすめツール、そしてアイデアを世界に公開するまでの全手順を徹底解説します。読み終える頃には、あなたもAIと共に開発を始める準備が整っているはずです。

✅この記事を読むとわかること

  • バイブコーディングの基本的な概念と他のAI開発との違い
  • すぐに試せる簡単な始め方と目的別のおすすめツール
  • 初心者が本格的なアプリを公開するまでの具体的な学習手順
  • AIを安全かつ効果的に使いこなすための注意点とコツ

⚠️本記事で使用した画像は説明のためのイメージ画像です。実際のデザインとは異なる場合があります。

🔍この記事のまとめ(先に知りたい方へ)
  • バイブコーディングはAIに「雰囲気」で指示する開発手法で、簡単な3ステップで誰でも始められます。
  • 初心者でも本格的なアプリを世界に公開できるようになる、具体的な8つの学習ステップを解説します。
  • 目的別のおすすめツールから、安全に開発を進めるための注意点まで、必要な知識が全て手に入ります。
  • この記事を読めば、AIと共にアイデアを形にする最初の一歩を、自信を持って踏み出すことができます。
目次

バイブコーディングの基本的な使い方と始め方

この章では、「バイブコーディングって一体何?」という基本的な疑問に答えます。その定義から、AI開発の時短効果、初心者が陥りがちな注意点、そしてすぐに試せる具体的なツールと簡単な3ステップのやり方まで、バイブコーディングの全体像を掴むための知識を網羅的に解説します。

Vibe Codingとは?他のAI開発手法との違い

バイブコーディングの使い方。AIと対話する開発者。
バイブコーディングの使い方。AIと対話する開発者。

「最近よく聞くAIでの開発って、結局どういうものなの?」「GitHub Copilotや、クリックだけで作れるノーコードツールと何が違うのだろう?」そんな疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。実は今、AIとの関わり方を根本から変える「バイブコーディング」という新しいスタイルが注目を集めています。

これは単なる作業の補助ではなく、あなたのアイデアそのものをAIが形にしてくれる、全く新しい開発体験です。

「雰囲気」で開発する新しい開発スタイル

バイブコーディングは、2024年頃からAI開発分野で注目され始めた新しいスタイルです。その本質は、プログラマーがコードの細かい構文や文法を意識するのではなく、作りたいものの「雰囲気(Vibe)」や「こんな感じ」という直感を、自然な言葉でAIに伝えることにあります。

2025年に元OpenAIの著名なエンジニア、Andrej Karpathy氏が提唱した概念という話がありますが、2025年7月時点で公式な根拠はないそうです。

例えば、「ミニマルでクリーンなデザインの写真共有SNSを作って」と話しかけるだけで、AIがその意図を汲み取り、アプリケーションの骨格を自動で組み上げてくれるのです。まさに、AIがあなたの頭の中にある漠然としたイメージを、現実のコードに翻訳してくれるような開発手法といえます。

AIが「補助役」から「実行主体」へ

これまでのAI開発支援といえば、多くの方がGitHub Copilotのような「コード補完ツール」を思い浮かべるでしょう。Copilotは、あなたが書いているコードの続きを予測して提案してくれる、非常に優秀な「助手」のような存在でした。

しかし、バイブコーディングにおけるAIの役割は、その一歩先にあります。AIはもはや単なる助手ではありません。あなたが伝えた設計思想や要望に基づき、複数のファイルを横断して必要なコードを書き、時にはプロジェクト全体の構造まで提案してくれる「実行主体」であり、頼れる「共同作業者」なのです。タイピングを補助してもらうのではなく、開発というタスクそのものをAIに委任する。これが決定的な違いです。

ノーコードとの決定的な違いは「柔軟性」

「それなら、パーツを組み合わせて作るノーコードツールと似ているのでは?」と感じるかもしれません。確かに、コードを直接書かない点は共通しています。しかし、両者には「柔軟性」という大きな隔たりが存在します。

ノーコードツールは、あらかじめ用意された機能やデザインの「部品」を組み合わせるため、どうしてもそのツールの制約からは逃れられません。「ここに、ちょっと特殊な機能を追加したい」と思っても、部品がなければ実現は困難です。

一方、バイブコーディングは自然言語で指示を出すため、原理的にはコードで表現できることなら何でも実現できる可能性があります。独自の複雑なロジックを組んだり、外部の特殊なAPIと連携したりと、あなたのアイデア次第でどこまでもアプリケーションを拡張していける、この圧倒的な「柔軟性」こそが、バイブコーディングの真価なのです。

劇的な時短効果と知っておくべき注意点

バイブコーディングの時短効果と注意すべき点。
バイブコーディングの時短効果と注意すべき点。

バイブコーディングがもたらす未来は、非常に魅力的です。しかし、どんな強力なツールにも光と影があるように、この新しい開発スタイルにも、知っておくべきメリットと、見過ごしてはならない注意点が存在します。

その両面を理解することが、AIという強力なパートナーと賢く付き合っていくための第一歩となります。

アイデアが数時間で形になる圧倒的なメリット

バイブコーディングの最大の魅力は、なんといってもその圧倒的な開発スピードにあります。

従来、スタートアップや個人開発者がサービスの試作品(プロトタイプ)を作るには、数週間から数ヶ月を要することも珍しくありませんでした。しかし、バイブコーディングを活用すれば、その期間を数時間から数日という単位にまで劇的に短縮できます。ある開発者は、週末に思いついたアイデアを、その日のうちに動く形にして友人に見せることができたと報告しています。

実際には「数時間で形になる」というのは誇張表現的な面も多く、AIの出力には人間による確認・修正・テストが不可欠です。

この技術は、専門家でない人々の世界も大きく変えます。例えば、プログラミング経験のないマーケティング担当者が、キャンペーン用の魅力的なランディングページをAIとの対話だけで作り上げたり、デザイナーが自分の思い描くポートフォリオサイトを細部に至るまで自ら実装したりといったことが可能になります。「作りたい」という情熱さえあれば、誰でも開発者になれる時代の扉が開かれたのです。

AIの出力を信じすぎることの危険性

これほど便利なバイブコーディングですが、AIの生成物を無条件に信じてしまうことには大きなリスクが伴います。

AIが生成したコードは、一見すると問題なく動作するように見えるかもしれません。しかし、その内部には非効率な処理や、後から修正することが非常に困難な、いわゆる「技術的負債」と呼ばれるコードが隠れている場合があります。その場しのぎで動くものを作れても、将来の機能追加や改修で苦労する可能性があるのです。

さらに深刻なのは、見えにくいバグの存在です。例えば、正常な操作では問題なくても、予期せぬ入力があった場合にシステム全体が停止してしまうような、エラー処理の不備が潜んでいるケースが報告されています。このような隠れた欠陥は、サービスを公開した後に大きなトラブルを引き起こす原因となりかねません。

安全に活用するための3つの心構え

では、どうすればリスクを避け、バイブコーディングの恩恵を最大限に受けられるのでしょうか。重要なのは、以下の3つの心構えです。

AIに開発を任せる際、データベースのパスワードやAPIキーといった機密情報を、プロンプトに直接書き込んではいけません。それらの情報は、Vercelなどのホスティングサービスが提供する「環境変数」という安全な場所に設定し、AIにはダミーの値を教えて作業させる、といった配慮が不可欠です。

AIは、インターネット上の膨大なオープンソースコードを学習しています。そのため、稀に特定のライセンス(GPLなど)を持つコードをそのまま出力してしまう可能性が指摘されています。意図せずライセンス違反を犯さないためにも、AIが生成したコードの出所には注意を払う習慣が求められます。

最も大切なのは、「AIが書いたコードであっても、その品質と安全性に対する最終的な責任は開発者自身が負う」というマインドセットです。AIはあくまで強力なツールであり、万能の魔法ではありません。人間によるコードレビューやテストを通じて、最終的な品質を担保する。この姿勢こそが、AI時代の開発者に求められる新たな倫理観と言えるでしょう。

おすすめツール5選!目的別の選び方

バイブコーディングのおすすめツール。目的別の選び方。
バイブコーディングのおすすめツール。目的別の選び方。

「バイブコーディング、面白そうだけど、一体どのツールから手をつければいいんだろう?」そんな風に、選択肢の多さに少し戸惑いを感じていませんか。たくさんのツールが登場している今、自分にぴったりの道具を見つけることが、新しい開発体験を楽しむための最初の、そして最も重要な一歩になります。

ここでは、あなたの目的やスキルレベルに合わせて、最適なツールを選べるように「体験向け」「本格開発向け」「自動化向け」という3つのカテゴリに分けて、代表的なツールをご紹介します。

まずは体験!ブラウザだけで完結するツール

プログラミングは全くの初めて。難しい設定は抜きにして、とにかく「自分のアイデアが形になる感動」を味わってみたい。そんなあなたに最適なのが、Webブラウザだけで全てが完結するツールです。

「子供の頃に好きだった本に似た、おすすめの本を教えてくれるアプリ」といったアイデアをテキストで伝えるだけで、AIがログイン機能やデザインまで含んだWebアプリケーションを自動で構築してくれます。コーディングという作業を意識することなく、純粋にアイデアの実現に集中できるのが最大の魅力です。

オンライン上でコードを書き、その場で実行・プレビューまでできるプラットフォームです。AIアシスタント機能を使えば、「〇〇を作りたい」と伝えるだけでプロジェクトの骨格を自動生成してくれます。ブラウザさえあれば、どこでも開発を始められる手軽さが、多くの初学者に支持されています。

もっと本格的に!AIと対話するコードエディタ

ある程度コードは読めるし、これからはもっと本格的なアプリ開発に挑戦したい。そんなエンジニアや学習者の方には、AIとの対話機能が深く統合された「AIネイティブ」なコードエディタが強力な武器となります。

人気のコードエディタ「Visual Studio Code」をベースに作られているため、多くの開発者が違和感なく乗り換えられます。エディタ内で「この関数の処理を、もっと効率的に書き直して」といった細かな指示を出すだけで、AIが的確な修正案を提示してくれます。まるで、隣に座る優秀な同僚とペアプログラミングをしているかのような開発体験が可能です。

Cursorの強力なライバルとして注目されているツールです。特に、複数のファイルにまたがるような複雑な修正や、プロジェクト全体のリファクタリング(コードの整理・改善)を得意としています。技術的負債の返済など、これまで手間のかかっていた作業をAIに任せ、開発者はより創造的な作業に集中できます。

面倒な作業は丸投げ!ターミナルで動く自動化エージェント

環境構築やテスト実行など、開発には避けて通れない定型作業が数多く存在します。そうした「面倒な作業は、全部AIに任せてしまいたい」と考える効率重視のあなたには、ターミナル(黒い画面)で動作するエージェントツールが最適です。

ターミナル上で「このIssue(課題)を解決して」と指示するだけで、AIがリポジトリ全体を解析し、原因を特定、コードを修正し、テストを実行、そしてプルリクエストの作成までを自動で行います。これまで数時間かかっていた一連の作業を、AIが黙々とこなしてくれる様子は、まさに未来の開発スタイルそのものです。

初心者でもできた!具体的なvibe coding活用事例

vibe codingの活用事例。初心者の成功体験。
vibe codingの活用事例。初心者の成功体験。

「理論はわかったけど、本当にそんなことができるの?」と、まだ半信半疑かもしれません。百聞は一見にしかず。ここでは、バイブコーディングが単なる夢物語ではないことを証明する、3つの具体的なサクセスストーリーをご紹介します。

これらの事例は、あなたの「やってみたい」という気持ちを、きっと後押ししてくれるはずです。

個人開発の事例:1時間でiOSアプリが完成

バイブコーディングの提唱者であるAndrej Karpathy氏は、その可能性を自ら証明して見せました。彼はChatGPTとの対話のみで、わずか1時間のうちにSwiftで書かれたiOSアプリのプロトタイプを完成させたのです。

驚くべきは、彼がその過程で技術的なドキュメントを一切読まなかったことです。彼はAIに対し、まるでマンツーマンの家庭教師に質問するように、「ボタンの色を変えたい」「エラーが出たけどどうすればいい?」と自然な言葉で問いかけ続けました。AIは即座に的確なコードを提示し、彼はそれをXcodeに貼り付けてビルドするだけ。この事例は、アイデアから「動くもの」までの距離が、AIとの対話によって劇的に縮まることを世界に示しました。

業務改善の事例:面倒なバグ修正をAIに丸投げ

開発現場では、日々報告されるバグの修正に多くの時間が割かれています。Anthropic社が公開した事例では、Claude Codeを活用して、この退屈な作業を劇的に効率化するワークフローが紹介されています。

開発者は、修正したいGitHubのIssue番号をClaude Codeに伝えるだけ。すると、AIが自律的にIssueの詳細を読み込み、関連ファイルを特定し、原因を突き止めます。そして、修正コードを生成し、自動でテストを実行。テストが通れば、コミットからプルリクエストの作成までを一気通貫で行います。これまで数時間を要していた一連のバグ修正サイクルが、最短30分程度で完了したという報告もあり、チーム全体の生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

非エンジニアの事例:日常のアイデアがアプリになる喜び

バイブコーディングは、専門家だけのものではありません。プログラミング未経験の人が、日常のふとした思いつきを形にした事例も数多く生まれています。

ある人は、忘れがちな観葉植物の水やりを記録するため、「自分専用の水やり管理アプリ」をAIとの対話だけで作り上げました。これまでなら「あったら便利だけど、作るなんて無理」と諦めていた小さなアイデアが、誰でも手軽に実現できるようになったのです。

また、別の面白い事例では、社内イベントの余興として「ピザの注文に応じて、好きな具材をドラッグ&ドロップで載せていくゲーム」を数時間で開発しました。通常、ドラッグ&ドロップのような複雑な操作の実装は初心者にとって高い壁ですが、AIが裏側で必要なコードを全て書いてくれたため、「こんなゲームがあったら面白いかも」という発想だけで、本当に遊べるゲームが完成してしまったのです。

これらの事例が示すように、バイブコーディングは、あなたの創造性を解き放つための最も強力なツールのひとつなのです。

3ステップで解説!vibe codingの簡単なやり方

3ステップで解説!vibe codingの簡単なやりかた
3ステップで解説!vibe codingの簡単なやりかた

これまでの話で、バイブコーディングの魅力や可能性は十分に伝わったかと思います。しかし、いざ真っ白なチャット画面を目の前にすると、「さて、何から始めようか…」と、キーボードを打つ手が止まってしまうかもしれません。

ご安心ください。一見すると魔法のように思えるこの開発手法も、実は驚くほどシンプルな3つのステップに分解できます。この「基本の型」さえ覚えてしまえば、誰でも今日からAIとの共同作業を始めることができます。

ステップ1:アイデアを伝える – AIへの最初の「お願い」

すべての物語が最初の一文から始まるように、バイブコーディングも、あなたがAIに何を望むかを伝えることから始まります。この最初の「お願い」、すなわちプロンプトが、プロジェクト全体の方向性を決定づける最も重要なコンパスとなります。

ここで大切なのは、AIに対して「友人」ではなく「優秀な部下」に仕事を依頼するような意識を持つことです。曖昧な指示では、部下は戸惑ってしまいます。

例えば、ただ「シンプルなToDoリストアプリを作って」と伝えるだけでは、AIはどんな機能が必要なのか判断に迷い、ごくありふれた、あなたの意図とは違うものを作ってしまうかもしれません。

これを、以下のように具体的にしてみましょう。
「シンプルなToDoリストアプリをReactで作成してください。機能として、①タスクの入力と追加、②完了したタスクの削除、そして③締切日が今日より過ぎていたらタスクの背景を赤色で表示する機能、この3つを入れてください。」

このように、**「何を使って」「どんな機能が」「どういう条件で動くのか」**を明確に伝えることで、AIはあなたの頭の中にある設計図をより正確に読み取り、的確なコードを生成してくれるのです。最初の指示が具体的であればあるほど、後の修正の手間は格段に少なくなります。

ステップ2:AIの生成結果を確認する – まずは「動かして」みよう

AIに指示を伝えると、しばらくしてコードやアプリケーションのプレビューが目の前に現れます。プログラミング経験のない方にとっては、ズラリと並んだコードを見て圧倒されてしまうかもしれません。

しかし、ここで焦る必要は全くありません。このステップで最も大切なのは、コードの細部を理解することではなく、「AIが自分のために、動くものを作ってくれた」という事実を体感することです。

多くのツールでは、生成されたコードと同時に、実際にアプリケーションが動作しているプレビュー画面が表示されます。まずは、その画面でアプリを操作してみましょう。先ほどのToDoリストの例なら、実際にタスクを入力してみたり、削除ボタンを押してみたりするのです。

「お、ちゃんとタスクが追加されるぞ」「削除もできるな」
このように、自分の指示通りにアプリケーションが動くのを確認できた時、あなたはバイブコーディングの持つ力の片鱗を実感するはずです。たとえ最初の出力でエラーが出たとしても、慌てることはありません。それもまた、次のステップに進むための重要な手がかりとなるのです。

ステップ3:対話して修正・改善する – 理想の形へ「育てる」

さて、あなたの手元には、とりあえず動くアプリケーションの原型があります。しかし、それが100%あなたの理想通りであることは稀でしょう。「ボタンの色がちょっと好みじゃないな」「この機能も追加したいな」そんな風に感じたなら、そこからがバイブコーディングの真骨頂です。

このステップの本質は、AIとの**「対話のループ」**にあります。AIを、一度きりの魔法のランプではなく、何度でも修正に応じてくれる粘り強いパートナーだと捉えましょう。

例えば、こんな風に対話のキャッチボールを続けていきます。
「ありがとう。タスクの背景色を変える機能は素晴らしいね。次は、完了したタスクに打ち消し線が入るように修正してほしいな。」

AIはあなたのフィードバックを受け、すぐさまコードを修正し、新しいプレビューを提示してくれます。もしエラーが出た場合は、そのエラーメッセージをコピーして、「このエラーが出たんだけど、直してくれる?」と伝えるだけで構いません。

この「指示→確認→修正」という対話のループを繰り返すことで、最初の無骨なプロトタイプは、徐々にあなたの理想とする洗練されたアプリケーションへと磨き上げられていきます。このプロセスこそ、AIと共にプロダクトを「育てる」という、バイブコーディングならではの醍醐味なのです。

バイブコーディングの実践的な使い方と学習法

この章では、「どうすればバイブコーディングを使いこなせるのか」という、より実践的な疑問に答えます。初心者が挫折しないための具体的な学習ロードマップを軸に、AIへの指示の質を高めるプロンプト術、開発を安全に進めるためのバージョン管理、そして完成したアプリを世界に公開する方法まで、一歩進んだテクニックを解説します。

初心者から始める8ステップ学習ロードマップ

初心者から始める8ステップ学習ロードマップ
初心者から始める8ステップ学習ロードマップ

バイブコーディングの基本的な使い方がわかった今、あなたの心の中にはきっと「次はどうすればいいんだろう?」「どうすればもっと複雑なアプリを作れるようになるんだろう?」という、新たな好奇心と少しの不安が芽生えていることでしょう。

まるで広大な海原に漕ぎ出す船のように、目的地までの海図がなければ、せっかくの冒険も不安でいっぱいになってしまいます。そこで、私たちはあなたのために、信頼できる一枚の「地図」を用意しました。この8つのステップからなるロードマップが、あなたの学びの旅を安全に、そして確実なゴールへと導きます。

準備運動フェーズ:コードを書かずに「できた!」を体験する

何よりも大切なのは、最初の一歩でつまずかないこと。このフェーズの目的は、難しい理屈は抜きにして、あなたのアイデアが形になる純粋な喜びと成功体験を味わうことです。

  • STEP 0: “雰囲気”を書き出す
    まずはChatGPTやClaudeといった対話AIを使い、「こんなアプリが欲しい」という“雰囲気”を言葉にしてみましょう。AIとの対話を通じて、ぼんやりとしていたアイデアが具体的な機能リストや画面構成へと変わっていくはずです。
  • STEP 1: 完全GUIで公開体験
    次に、Lovableのようなツールを使って、コードを一切見ることなくWebアプリを世界に公開してみます。「Publish」ボタンを押すだけで、あなたのアイデアにURLが与えられ、世界中の誰もがアクセスできるようになる。この感動が、次へ進むための大きな原動力となります。
  • STEP 2: ワークフロー自動化で“裏側”を学ぶ
    n8nのようなツールを使い、「〇〇が起きたら、△△する」という簡単な自動化フローを組んでみましょう。これにより、プログラムが動く「裏側の仕組み」や、条件分岐といった論理的な考え方を、コードを書かずに直感的に理解できます。

実践開発フェーズ:AIと「本格的なアプリ」の骨格を作る

準備運動で自信をつけたあなたは、いよいよ本格的な開発の世界へ足を踏み入れます。このフェーズでは、Webアプリケーションに不可欠な「見た目(UI)」「ログイン機能(認証)」「データ保存(DB)」という三大要素を、AIとの対話を通じて構築していきます。

  • STEP 3: クラウド完結でアプリの三要素を作る
    Firebase Studioのようなプラットフォーム上で、「ユーザーがログインできて、データを投稿・保存できるアプリの原型」をAIに作ってもらいます。あなたの指示一つで、複雑な機能が次々と形になっていく様子は圧巻です。
  • STEP 4: ターミナルAIで“怖くない黒い画面”を体験する
    プロが使う「黒い画面(CLI)」も、Claude CodeのようなAIがいれば怖くありません。これまで手動で行っていた面倒な設定やコマンド実行を、AIに日本語でお願いするだけで完結させます。
  • STEP 5: エディタAIでコードを「読む・微修正する」
    CursorのようなAIネイティブなエディタを使い、AIが生成したコードを初めてじっくりと「読んで」みましょう。全てを理解する必要はありません。「ここをこう変えたのか」と変化を追うことで、AIへの指示がより的確になります。

応用・運用フェーズ:プロのように「公開し、育てる」

最後のフェーズでは、作ったアプリをただの作品で終わらせず、安全に管理し、世界に届け、継続的に成長させていくためのプロフェッショナルなスキルを身につけます。

  • STEP 6: Git/GitHubで「安全なセーブ」を覚える
    AIによる大規模な改修は、時に予期せぬ不具合を生みます。Gitというバージョン管理システムを使って、開発の歴史を「セーブポイント」として記録し、いつでも安全な状態に戻れる安心感を手に入れます。
  • STEP 7: デプロイで世界に公開する
    Vercelのようなモダンなサービスを使えば、数回のクリックであなたのアプリを世界に公開(デプロイ)できます。もうサーバーの難しい設定に悩む必要はありません。
  • STEP 8: 次世代AIエージェントと“擬似チーム開発”を行う
    Devinのような自律型AIエージェントにタスクを「丸投げ」し、あなたはプロジェクトマネージャーとしてAIチームを率いる。そんな未来のチーム開発を体験します。

AIへの指示が変わる!効果的なプロンプト術

AIへの指示が変わる!効果的なプロンプト術
AIへの指示が変わる!効果的なプロンプト術

「AIに指示を出したのに、なぜか意図と違うものが返ってくる…」「何度も同じような修正を頼むのは、正直ちょっと疲れるな」バイブコーディングを実践していると、誰もが一度はそんな「AIとのコミュニケーションの壁」に突き当たります。

しかし、それはあなたの伝え方が悪いわけではありません。AIという超優秀なパートナーの性能を120%引き出すには、ほんの少しの「コツ」を知っているかどうかが大きな差を生むのです。ここでは、あなたの指示を「お願い」から「的確な司令」へと変える、3つのプロンプト術を伝授します。

良いプロンプトの基本原則

AIとの良好な関係は、人間関係と同じく、相手への「配慮」と「具体性」から生まれます。まずは、すべての基本となる3つの原則をマスターしましょう。

  • 目的を明確にする: 「ログイン機能を作って」ではなく、「メールアドレスとパスワードを使ったログイン機能を実装し、失敗時にはエラーメッセージを表示してください」と、ゴールを明確に伝えます。
  • コンテキストを与える: AIは文脈がないと正しい判断ができません。「このUser.jsというファイルを参考にして、ユーザー登録APIを作成してください」のように、参照すべき情報(コンテキスト)を渡してあげましょう。
  • 段階的に要求する: 一度に複雑な要求をすると、AIも混乱してしまいます。「①まずフォームを作る → ②次にバリデーションを追加する」というように、大きなタスクは小さなステップに分解して、一つずつ依頼するのが成功の秘訣です。

CLAUDE.md:AIにルールを記憶させる魔法のファイル

「このプロジェクトでは、必ずTypeScriptを使ってね」「変数名はこのルールで統一して」といった決まり事を、AIに毎回伝え直すのは非効率です。そこで活躍するのが、Claude Codeが持つCLAUDE.mdという特別なファイルです。

このファイルに、プロジェクト固有のルールやアーキテクチャ、コーディング規約などを一度書き込んでおくだけで、Claude Codeはその内容を記憶し、以降のすべての作業でそのルールを遵守してくれるようになります。

これは、まるであなた専用の「執事」に、家のルールを教え込むようなものです。一度教えれば、あとは言わなくても完璧にこなしてくれる。この機能を使いこなすことで、AIとのやり取りは格段にスムーズになり、生成されるコードの品質も飛躍的に向上します。

拡張思考:AIの本気を引き出すキーワード

時には、AIが提示するありきたりな解決策では物足りない、もっと深いレベルで考えてほしい、と感じる場面があるでしょう。そんな時、AIの「本気」を引き出すための、ちょっとした魔法の言葉があります。

それは、プロンプトに**「よく考えて」「深く考えて」「熟考して」**といったキーワードを付け加えることです。

これらの言葉を受け取ったClaude Codeは、「拡張思考モード」に入ります。通常よりも多くの思考時間と計算リソースを使い、問題の背景や複数の解決策を比較検討し、より根本的で質の高い提案をしてくれるようになります。

例えば、単純なエラー修正を依頼しても解決しない場合に、「まだユニーク制約違反のエラーが発生します。よく考えて修正してください」と伝えるだけで、AIはこれまでとは全く異なるアプローチで問題の核心に迫ろうとします。AIを単なる作業者ではなく、共に問題を解決する「思考パートナー」として扱う。この意識が、バイブコーディングを次のレベルへと引き上げる鍵なのです。

Git/GitHubで開発履歴を安全に管理する方法

バイブコーディングでのGit/GitHubの使い方。
バイブコーディングでのGit/GitHubの使い方。

AIとの共同作業は驚くほど効率的ですが、時として予期せぬ事態を引き起こします。「AIに大規模なリファクタリングを任せたら、なぜか動いていたはずのログイン機能まで壊れてしまった…」「昨日の完璧な状態に戻したいのに、どこをどう直せばいいか全く見当もつかない…」

そんな悪夢のような状況は、AIが大規模な変更を自動で行うバイブコーディングでは、誰にでも起こり得るリスクです。この「もしも」の時の恐怖が、あなたの大胆な挑戦をためらわせる足枷になってはいませんか。

その足枷を断ち切り、あなたに失敗を恐れない勇気を与えてくれるのが、バージョン管理システム「Git」と、その保管場所である「GitHub」です。

なぜGitが必要か?ゲームの「セーブ機能」と同じ

Gitを、何か新しい難解なプログラミング言語のように考える必要はありません。これは、あなたのプロジェクト専用の、超高性能な**「セーブ機能」**だと考えてください。

あなたがRPGゲームで強大なボスに挑む前、必ずセーブをするように、開発においても重要な変更を加える前に「セーブポイント」を作っておく。たったそれだけのことで、開発の安心感は劇的に向上します。

  • 好きなタイミングでセーブできる(commit): 「ログイン機能が完成した!」というキリの良いタイミングで、その時点の全てのファイルを丸ごと記録できます。
  • いつでも過去の状態に戻れる(reset): たとえAIによる改修がプロジェクトをめちゃくちゃにしてしまっても、ボタン一つで「昨日の完璧な状態」にタイムスリップできます。
  • 変更の歴史がすべて残る(log): 「このボタンの色は、一体いつ、誰が、なぜ変えたのか」という全ての歴史が一目瞭然になります。

AIと共に、時に大胆な変更を加えながら開発を進める現代において、この「いつでも戻れる」という安心感は、もはや命綱とも言える存在なのです。

これだけ覚えればOK!最小限のコマンド5選

「でも、コマンドを覚えるのが大変そう…」ご安心ください。個人開発の9割は、これから紹介するたった5つのコマンド(呪文)で乗り切ることができます。

コマンド役割意味
git clone [URL]取得するGitHubにあるプロジェクトデータを、自分のPCに丸ごとコピーする(最初の1回だけ)
git add .ステージに上げる「これらの変更をセーブ対象にします」とファイルに目印をつける(.は全ファイル)
git commit -m “メッセージ”セーブする目印をつけたファイルを「セーブデータ」として記録する(メッセージには変更内容を書く)
git pull他人の変更を取り込む(チーム開発などで)他の人が更新した最新の状態を自分のPCに持ってくる
git push自分のセーブを共有する自分のPCで作ったセーブデータを、共有場所であるGitHubにアップロードする

日々の作業では、add → commit → push という3点セットが、「セーブしてアップロードする」という基本のリズムになります。まずはこの流れを身体に覚え込ませましょう。

プロの現場でも使われる安全な開発フロー「GitHub Flow」

コマンドを覚えたら、次はプロの開発現場で標準的に使われている、より安全な作業手順「GitHub Flow」を一度だけ体験してみましょう。これは、完成品(mainブランチ)を直接編集するのではなく、安全な「実験場(featureブランチ)」で作業を行い、問題がないことを確認してから本体に合体させる、という流れです。

  1. Issue(課題)を作る: GitHub上で「ヘッダーを固定表示にしたい」といった「やることリスト」を作成します。
  2. Branch(分岐)を作る: 完成品のコピーである「実験場」を作ります。
  3. Commit & Push: 実験場の中で、AIに指示を出しながらコードを修正し、こまめにセーブ(Commit)とアップロード(Push)を繰り返します。
  4. Pull Request(レビュー依頼)を作る: 「実験完了です!内容を確認して、問題なければ完成品に合体させてください」というレビュー依頼を出します。
  5. Merge(合体): レビューで問題がなければ、「Merge」ボタンをクリック。この瞬間に初めて、あなたの変更が完成品に反映されます。

この流れさえ守れば、たとえ実験場でAIがどんなに暴走しても、あなたの“完成品”が傷つくことはありません。この絶大な安心感が、あなたの創造性をさらに解き放ってくれるはずです。

Vercelで簡単!作ったアプリを世界に公開する

バイブコーディングで作ったアプリの公開方法。
バイブコーディングで作ったアプリの公開方法。

さて、あなたはAIと共にアプリケーションを開発し、Gitでその歴史を安全に管理する術を身につけました。あなたのパソコンの中には、今や世界に公開される準備が整った「宝物」が眠っています。

しかし、その宝物は、まだ誰の目にも触れていません。「サーバーの契約ってどうするの?」「ドメインとかネットワークとか、専門的で難しそう…」そんな風に、世界への扉を開ける最後の最後で、足がすくんでしまってはいませんか。

かつて、その扉を開けることはインフラ専門のエンジニアだけが持つ鍵でした。しかし2025年現在、Vercelのようなモダンなホスティングサービスが、その鍵を誰の手にでも渡してくれるようになったのです。

「デプロイ」とは?GitHubとVercelを繋ぐだけ

難しく聞こえる「デプロイ」という言葉も、今の時代では驚くほどシンプルです。一言でいえば、**「あなたのGitHubリポジトリ(アプリの設計図)を、Vercel(全自動の建設会社)に渡して、インターネット上にアプリ(家)を建ててもらうこと」**です。

あなたがやるべきことは、Vercelに「この設計図でお願いします」と伝えるだけ。するとVercelは、

  • ソースコードを自動で読み取り、
  • 最適な環境を構築し(ビルド)、
  • 世界中に高速で届けられるように道を整備し(CDN)、
  • https://あなたのアプリ名.vercel.app のような、世界で一つだけの住所(URL)を発行する

という全工程を、あなたがコーヒーを一杯淹れている間に、すべて全自動で完了させてくれます。

具体的なデプロイ手順

信じられないかもしれませんが、本当に数回のクリックで完了します。

  1. Vercelに、あなたのGitHubアカウントでログインします。
  2. ダッシュボードで「Add New…」から「Project」をクリックします。
  3. 公開したいあなたのGitHubリポジトリを選択し、「Import」ボタンを押します。
  4. フレームワーク(Reactなど)はVercelが自動で認識してくれるので、何も設定を変える必要はありません。そのまま「Deploy」ボタンをクリックします。

たったこれだけです。数分後、画面に表示されたURLにアクセスすれば、そこにはあなたの作ったアプリケーションが、世界に向けて公開されています。さらに素晴らしいことに、一度この連携を設定してしまえば、今後はGitHubに新しい変更をPushするたびに、Vercelが自動でサイトを最新版に更新してくれるのです。

最も重要な注意点:APIキーの流出を防ぐ

この手軽さの中で、初心者が最も犯しやすく、そして最も致命的な過ちが**「APIキーやパスワードといった秘密情報を、GitHubにそのままアップロードしてしまう」**ことです。

これが公開されてしまうと、悪意ある第三者があなたのサービスを乗っ取り、データベースを破壊したり、あなたに高額な利用料金を請求させたりすることが可能になってしまいます。

しかし、対策は非常に簡単です。以下の2つのルールを絶対に守ってください。

  1. .gitignoreファイルに.envと記述する: これにより、秘密情報が書かれたファイル(通常.envという名前です)が、Gitの管理対象から外れ、誤ってGitHubにアップロードされることを防ぎます。
  2. 秘密情報はVercelの「環境変数」に設定する: Vercelの管理画面には、「Environment Variables」という、秘密情報を安全に保管しておくための金庫のような機能があります。APIキーなどは、必ずこちらに設定しましょう。

この2つのルールさえ守れば、あなたはデプロイの持つ力を、安全に、そして最大限に享受することができます。さあ、あなたの作った宝物を、世界に届けましょう。

Devin登場で変わる?vibe codingの未来

vibe codingの未来とDevinの登場。
vibe codingの未来とDevinの登場。

あなたは今、AIとの対話を通じて、これまでにないスピードでアイデアを形にする力を手に入れました。しかし、開発の旅を進めるうちに、ふとこんな壁を感じる瞬間が訪れるかもしれません。「新機能の開発と、厄介なバグの修正、どっちを優先すべきだろう…」「一人で全部やるのは、やっぱり限界があるな…」

私たちが今立っているのは、AIとの「対話」の時代の入り口です。そして、その扉の向こうには、AIが単なる対話相手ではなく、自律的に思考し行動する「仲間」となる、さらに刺激的な未来が待っています。その未来を象徴するのが、次世代AIエージェント「Devin」の登場です。

しかし、ここでいう自立的に~という表現は、今後期待されているものであり、2025年7月時点では実験段階といえます。

自律的にタスクを完遂する「AIソフトウェアエンジニア」

これまでのAIアシスタントと、Devinのような次世代エージェントとの違いは決定的です。それは、単にコードの断片を提案する「アシスタント」から、与えられたタスクを自律的に完遂する**「AIソフトウェアエンジニア」**へと進化した点にあります。

例えば、「ユーザーがプロフィール画像をアップロードできる機能を実装して」という曖昧な指示をDevinに与えたとします。するとDevinは、まるで人間のエンジニアのように、

  1. 計画立案: 必要な作業(UI作成、ファイルアップロード処理、DBスキーマ変更など)を自ら洗い出し、計画を立てる。
  2. 自己解決: 開発中にエラーが発生すれば、自らブラウザを開いてドキュメントを調べ、原因を特定し、コードを修正する。
  3. 成果物提出: 全ての作業が完了すると、変更内容をまとめたプルリクエスト(レビュー依頼)を自動で作成する。

といった一連のプロセスを、人間の介入なしに完結させてしまうのです。これはもはや、単なるツールではありません。あなたと共にプロジェクトを推進する、頼れる電子の同僚の誕生です。

人間は「マネージャー」になる時代の到来

DevinのようなAIエンジニアが登場することで、私たちの働き方は根底から変わります。もはや、あなたがコードの細部を気にする必要はありません。あなたの役割は、優秀なAIエンジニアたちを率いる**「プロジェクトマネージャー」**へとシフトします。

AIチームにGitHubのIssue(課題)を渡して「このタスク、お願い」と指示を出す。すると、複数のAIエージェントが、人間には不可能なスピードで、それぞれ異なるタスクを並列して進め始めます。あなたは、彼らの進捗を眺めながら、時折レビューを行い、最終的な承認のボタンを押すだけでいいという声もあります。

※現状ではAIによる完全な自律開発は実現していません。

新機能の開発、技術的負債の返済、テストの拡充といった複数のタスクが、クラウド上で同時に解決されていく。そんな、かつては夢物語だった開発スタイルが、現実のものになろうとしています。

さらに直感的になる、これからのバイブコーディング

この進化は、さらに未来へと続いていきます。

  • RAG(検索拡張生成): AIがプロジェクト内の既存コードや最新の技術ドキュメントをリアルタイムで参照し、より文脈に即した、高品質なコードを生成するようになります。これにより、「AIが古い情報を元にコードを書いてしまう」といった問題が解消されていきます。
  • マルチモーダル化: 開発のインターフェースは、テキストだけにとどまりません。あなたがホワイトボードに描いた手書きの画面スケッチをカメラで写したり、音声で「このボタンを、もう少し右に動かして」と話しかけたりするだけで、AIがそれを正確にコードへと変換してくれる。そんな、より直感的で、創造的な開発体験が待っています。

バイブコーディングは、AIとの「対話」から、AIチームを率いる「マネジメント」へ、そしてAIと感覚を共有する「共創」へと、その姿を変えながら進化し続けていくのです。

まずは無料ツールから!あなたの次の一歩

バイブコーディングを始めるためのおすすめの次の一歩。
バイブコーディングを始めるためのおすすめの次の一歩。

ここまで読み進めてくださったあなたは、バイブコーディングという新しい世界の壮大さと、その無限の可能性に、興奮と同時に少しの圧倒も感じているかもしれません。「すごいのはわかった。でも、本当に自分にできるだろうか…」

その一歩を踏み出す前の、ほんの少しのためらい。痛いほどよくわかります。しかし、どうか忘れないでください。どんなに偉大な旅も、最初の小さな一歩から始まるのです。

完璧を目指さない。まずは「試す」勇気

この記事で紹介した知識やツールを、一度にすべてマスターする必要は全くありません。大切なのは、完璧な準備をすることではなく、不完全なままでも、まずは「試してみる」という、ささやかな勇気です。

失敗を恐れる必要はありません。AIは、あなたが何度間違えても、文句一つ言わずに付き合ってくれる、最も忍耐強いパートナーです。そのパートナーの手を借りて、まずは遊んでみる。その気軽さが、あなたを新しい世界へと連れて行ってくれます。

最初のハードルを下げる無料ツールたち

幸いなことに、高価な機材や複雑な設定は不要です。あなたの冒険を後押ししてくれる、無料で始められる強力なツールが存在します。

  • Replit: あなたに必要なのはWebブラウザだけ。アカウントを登録すれば、環境構築という最初の壁を飛び越えて、すぐにAIとの対話を始められます。
  • Cursor: 多くのプロが愛用するこのエディタも、無料プランで十分にその力を体験できます。まずは手持ちの簡単なファイルで、「このコードの意味を日本語で説明して」と話しかけてみるだけでも、世界が変わって見えるはずです。

さあ、ロードマップの「STEP 0」を始めよう

では、具体的に、今、この瞬間に何をすればいいのでしょうか。答えは、この記事でご紹介した**「8ステップ学習ロードマップ」**の、最も簡単で、最も重要な最初のステップを思い出すことです。

そうです、**「STEP 0: “雰囲気”を書き出す」**です。

今すぐ、新しいタブでChatGPTかClaudeを開いてみてください。そして、真っ白なチャットボックスに、こう打ち込んでみましょう。

「最近、私が感じている小さな不便を解決する、面白いアプリのアイデアを3つ考えてくれない?」

そこから始まるAIとの何気ない会話が、あなたの創造の旅の、記念すべき第一歩となります。バイブコーディングは、あなたの「作りたい」という純粋な想いを、現実世界へと羽ばたかせるための翼です。

この記事を読み終えた今こそ、その翼を広げる絶好のタイミング。さあ、恐れずに、最初の一歩を踏み出しましょう。

総まとめ:バイブコーディングの使い方の全て

バイブコーディングの使い方の全てをまとめた地図。
バイブコーディングの使い方の全てをまとめた地図。
  • バイブコーディングは「雰囲気」をAIに伝えて開発する手法である
  • しかし、あいまいな指示では意図通りのものができない場合が多い
  • AIはコード補完の「補助役」ではなく、開発の「実行主体」となる
  • ノーコードツールとの違いは、カスタマイズにおける圧倒的な「柔軟性」にある
  • 開発スピードが劇的に向上し、アイデアを数時間で形にできる
  • AIが生成したコードには品質や保守性のリスクが潜んでいる
  • 機密情報の扱いやライセンス確認など、セキュリティ意識が不可欠だ
  • 目的(体験・本格開発・自動化)に応じてツールを使い分けるべきだ
  • 基本的な使い方は「指示・確認・修正」という3ステップの対話である
  • 具体的で文脈を伴うプロンプトがAIの精度を向上させる
  • 初心者は体系的な8ステップの学習ロードマップが有効である
  • CLAUDE.mdのような機能でAIにプロジェクトルールを記憶させられる
  • Git/GitHubは、AIによるコード破壊からプロジェクトを守る必須ツールだ
  • Vercelと連携すれば、数クリックで自作アプリを世界に公開できる
  • Devin等、自律型AIの登場で人間はマネージャー的な役割に変わる
  • AIが書いたコードでも、最終的な品質責任は人間が負う
  • AIの支援により、従来よりも短期間でプロトタイプを作成できるようになってきているが、人間による設計・確認・修正は不可欠
  • 完璧を目指さず、まずは無料ツールから試すことが学びの第一歩である

関連リンク

Andrej Karpathy氏の公式ブログ

この記事で解説したバイブコーディングの世界を、さらに深く、そして安全に探求するために。ここでは、開発元や国際的な専門機関など、信頼性の高い公式サイトへのリンクをご案内します。

この記事で何度も言及した「バイブコーディング」の提唱者、Andrej Karpathy氏本人のブログです。彼が考えるAIとソフトウェア開発の未来についての深い洞察や、最先端の技術解説に直接触れることができます。一次情報源として、技術の背景にある思想を理解する上で非常に役立ちます。
https://karpathy.ai/

OWASP Foundation: Top 10 for Large Language Model Applications

OWASPは、Webアプリケーションセキュリティに関する世界的な専門機関です。この記事で触れた「AI生成コードのセキュリティリスク」について、国際的な専門家たちがまとめた具体的な脅威(プロンプトインジェクション等)を確認できます。自作アプリの安全性を高めるための、信頼できる指針となります。
https://owasp.org/www-project-top-10-for-large-language-model-applications/

OpenAI Blog

バイブコーディングを支える中核技術である大規模言語モデル(LLM)を開発した、OpenAIの公式ブログです。ChatGPTやGitHub Copilotなど、多くのAIツールの基盤技術に関する最新情報や、開発の背景にあるビジョンを知ることができます。技術の進化を追い続けたい方におすすめです。
https://openai.com/blog

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